倉林明子議員による国会質問と加藤厚労大臣等の答弁

2022年11月1日 参議院厚生労働委員会

●倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 まず最初に、産科医療補償制度について質問したいと思います。先の国会でも様々な方から質問もあったものでございます。
 これ、早産で生まれた子供さんが脳性麻痺となった場合に総額三千万円が補償されると言う制度であります。
 その児とその家族を支援するとともに、産科医療の向上と、これを目指して2009年に創設された。これ、訴訟の問題も産婦人科では大きな課題となっておりまして、これ資料でつけておりますのは、この制度発足前から訴訟は減りつつあるんですけれども、ぐっと効果をあげていると言うことが、有効に機能していると言うことが見てとれる、これ1つ、目的の1つですけれども、有効に機能していると言うこと言えると思うんですよね。
 そこで、実はこの制度、検証を踏まえて、2022年1月からこれまで行ってきた個別審査が廃止されました。制度改正されたその理由についてご説明ください。

●政府参考人 (榎本健太郎君/厚生労働省 医政局長) 
お答え申し上げます。
 産科医療補償制度の補償対象基準につきましては、運営組織でございます公益財団法人日本医療機能評価機構が設置しております産科医療補償制度運営委員会等におきまして、その時点の医学的知見や医療水準を踏まえて学識経験者やあるいは医療保険者等による検討が行われまして、当該検討の結果を踏まえて社会保障審議会医療保険部会における審議を経て定められているところでございまして、その時点における適切な基準を設定しているところでございます。
 補償対象基準につきましては、今ご指摘ございましたように、2022年1月の制度見直しがございましたが、この見直し以前は、在胎週数が28週以上で出生された子供について、一律に分娩に関恋した脳性麻痺か定かでなかったと言うことから個別に審査されることとされていたところでございます。
 しかし、近年の周産期医療の進歩によりまして、在胎週数28週から32週未満の脳性麻痺について医学的に未熟性による脳性麻痺ではなくなり、また、実際の医療現場においては成熟児と同じような医療が行われていることなどを踏まえまして、2022年1月より在胎週数28週以上の子供を一律一般審査の対象として個別審査を廃止したということでございます。

●倉林明子君 ちょっと説明なかなかわかりにくかったなと思うんですけれども、これ蓄積がされたんですね、知見がね。2009年から14年までのところで対象外になった子供たちに対しての検証をやったんですよ、検証を。そしたら、なんと99%が実は対象になると言う検証結果が出たと言う事なんですよね。つまり、補償対象と同様の分娩に関する事象が発生していたという事なんですよね。これまでの個別審査の基準、ここには十分な合理性がなかったというのが改めてわかってこれ見直しに至っていると、ここが大事だと思うんですよ。
ところが、ところが、ほんまやったら対象やったねという人たちが救済されてないわけです。そこで、親の会も作られまして、働きかけもされてきているんですけれど、検証期間の間に個別審査対象となったもののうち、約半数の414件、これが対象外になっているわけですよ。補償を受けられないと。
ケアしている保護者の皆さんの声、私も直接聞かせて貰いましたけれども、バリアフリー化のために高額のお金かけて家直したと、あるいはケアするために親が両方働かなあかんと、お金もいると、そういう中で体壊してしまったと言うような方も、さえあったわけですよ。
 これ、福祉制度、福祉サービスで補填されるものじゃないんですね。
 本来は補償対象とされるべき早産児、これ結局取り残していいんだろうかと、あまりにも不公平ではないかと思うわけですよね。私、改正前に個別審査で対象外にされた、こういうすべての子供さん達にさかのぼって平等な補償と言うことに踏み込むべきだと思うんです。これ、大臣、いかがですか。

●国務大臣(加藤勝信君)  この間の補償の対象基準、さっき委員お話があったように、その時々に置いて決めて、そして令和4年からは個別審査の基準を廃止したと言う、こういった形を経る中で今委員ご指摘のような声も頂戴していること、これは事実でございます。
ただ、この制度、ご承知のように、日本医療機能評価機構と保険会社が保険契約を締結し、そして医療保険者が掛け金を全て負担する形で実施され、そしてどういう補償対象をするかと言うのはその都度都度、産科医療補償制度運営委員会等において、その時点の医学的知見や医療水準を踏まえ学識経験者や医療保険者等による検討が行われ、またその結果を踏まえて社会保障審議会医療保険部会における審議を得て定められている、こういう経緯を経た上でつくられた、いわゆる保険、民間の保険制度を活用しているということでございます。
 したがって、そもそもその対象になっていないものを後から対象にしていくというのは、心情的なことはちょっと別として、制度としては大変困難であるという事は申し上げておかなきゃならないと言うふうに思っておりますし、今の段階では、こうした制度の仕組みについてご理解いただけるよう丁寧な説明を行っていきたいと考えております。

●倉林明子君 そういう答弁もあって、親の会の皆さんから重ねての要望も出ているんですよね。社会保障審議会のその部会で当事者も入れてもう一度検討してほしいと、こういう声も出ているわけですよ。私、それ保険契約との関係でもう遡及する事は困難だと言うことにしていいんだろうかと。
 実際に今今検証してみたら対象に該当するんだという事は明らかになって、改めてこうやって検討を求めておられるわけで、私はやっぱりこういう取り残されるような児や家族を作ってはならないと思うんです。基金は充分にあって、掛け金の値下げも行われている位ですよね。そういう意味でも、心情の問題にせずに解決に向けた決断を求めたいと思います。よく検討していただきたい。

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