国会 会議録/動画

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(産科医療補償制度にまつわる2022年以降の会議録を主に掲載中)

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発言者/YouTube一覧

第211回国会 参議院 決算委員会
令和5年5月15日

音喜多駿議員
https://youtu.be/c1FdU-a0dko

答弁者:

◯加藤 勝信 厚生労働大臣

◯榎本 健太郎 厚生労働省 医政局長


第211回国会 衆議院 厚生労働委員会
令和5年3月10日

吉田つねひこ議員
https://youtu.be/Pibqq7nWO4w

答弁者:

◯加藤 勝信 厚生労働大臣

◯榎本 健太郎 厚生労働省 医政局長

第211回国会 衆議院 予算委員会 令和5年2月21日 

岡本あき子議員
https://youtu.be/2T6lUddCt5c

答弁者:

◯加藤 勝信 厚生労働大臣

◯榎本 健太郎 厚生労働省 医政局長

第211回国会 衆議院 予算委員会 令和5年2月8日 

岡本あき子議員
https://youtu.be/-3R1xsmJ7FI

答弁者:

◯加藤 勝信 厚労大臣

◯岸田 文雄 内閣総理大臣
第210回国会 参議院 厚生労働委員会 第3号 
令和4年11月1日

倉林明子議員
https://youtu.be/13N--nz7Xno

答弁者:

◯加藤 勝信 厚生労働大臣

◯榎本 健太郎 厚生労働省 医政局長
第210回国会 衆議院 厚生労働委員会 第2号 令和4年10月26日

吉田つねひこ議員


答弁者:

◯加藤 勝信 厚生労働大臣
第210回国会 衆議院 本会議 第4号 
令和4年10月25日

阿部知子議員
令和四年十月十九日提出
質問第二〇号

産科医療補償制度における補償対象外となった脳性麻痺児の救済に関する質問主意書

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a210020.htm

◯答弁
令和四年十月二十八日受領 答弁第二〇号
内閣衆質二一〇第二〇号
令和四年十月二十八日

内閣総理大臣 岸田文雄

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b210020.htm
第208回国会 参議院 予算委員会 第18号
令和4年5月30日

自見はなこ議員
https://youtu.be/8_nj7gtSiBk

答弁者

◯ 岸田文雄 内閣総理大臣
第208回国会 参議院 内閣委員会 第18号
令和4年5月24日

自見はなこ議員
https://youtu.be/8Bp0WhTmgQQ

答弁者

◯ 古賀篤 厚生労働副大臣
第208回国会 参議院 厚生労働委員会 第14号
令和4年5月17日

福島みずほ議員
https://youtu.be/qgaDHKzvSeU

答弁者

◯ 後藤茂之 厚生労働大臣
第208回国会 参議院 財政金融委員会 第12号
令和4年4月26日

自見はなこ議員
https://youtu.be/wzcUx1oRTek

答弁者

◯ 栗田照久 金融庁監督局長

◯ 大坪寛子 厚生労働省大臣官房審議官
第208回国会 参議院 決算委員会 第6号
令和4年4月25日

音喜多駿 議員
https://youtu.be/utn1CbLYKpc

答弁者

◯ 伊原和人 厚生労働省医政局長

◯ 後藤茂之 厚生労働大臣
第208回国会 衆議院 厚生労働委員会 第16号
令和4年4月22日

仁木博文議員
答弁者

◯後藤茂之 厚生労働大臣




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第211回国会 参議院決算委員会 令和5年5月15日

音喜多駿参議院議員

答弁者:

◯加藤 勝信 厚生労働大臣

◯榎本 健太郎 厚生労働省 医政局長



第211回国会 衆議院厚生労働委員会 令和5年3月10日

吉田つねひこ衆議院議員

答弁者:

◯加藤 勝信 厚生労働大臣

◯榎本 健太郎 厚生労働省 医政局長

046 吉田統彦
○吉田(統)委員 おはようございます。立憲民主党の吉田統彦でございます。
 四十分、今日はいただきました。貴重な時間ですので、早速質疑を始めさせていただきたいと思います。大臣におかれましては、適切かつ簡潔な御答弁をお願い申し上げます。
 まず、産科医療補償制度について大臣にお伺いをしてまいります。
 産科医療補償制度については、私が制度発足当初から申し上げていた危惧が全て現実となったという意味を含めて、極めて残念な状況になっております。
 例えば、当初、当時の設計では保険料三万円は高過ぎるだろうと申し上げましたし、補償対象とされ、給付された人数も当初非常に少ないということも指摘しております。そのために多額の剰余金も生じています。これは、当初、そもそもの基準と保険料の計算が誤っていたと言わざるを得ませんし、制度の趣旨は了といたしますが、極めて問題の多い制度設計であったと言わざるを得ません。
 昨年十一月一日の共同通信に、出生時の低酸素状態を確認する個別審査で補償対象外とされた子らの救済策として、数百万円の特別給付金を出す案が浮上していることが一日、政府関係者への取材で分かった、厚生労働省と制度運営主体の日本医療機能評価機構は検討を進めるとの記事が出ていましたが、大臣、これは事実でしょうか。

047 加藤勝信
○加藤国務大臣 お尋ねのような報道内容は承知をしておりますが、厚生労働省としては、そのような具体的な検討を行っているという事実はございません。

048 吉田統彦
○吉田(統)委員 それでは、大臣、個別審査基準についての認識をお伺いします。
 個別審査で対象外となった児をレトロスペクティブに調べた結果、実は、制度が対象とする、分娩に関連して発症した脳性麻痺であった、つまり、現在補償を受けている児と対象外となった児に何ら差がなかったと医療機能評価機構が発表をしています。これは、つまり、補償漏れということではないんでしょうか、大臣。

049 加藤勝信
○加藤国務大臣 補償対象基準については、運営組織である日本医療機能評価機構が設置する運営委員会等において、その時点の医学的知見や医療水準を踏まえ、学識経験者や医療保険者などによる議論も踏まえて定められており、その時点においては適切な基準が設定されたというふうに考えております。
 その上で、産科医療補償制度を運営している日本医療機能評価機構が二〇二〇年十二月に取りまとめた産科医療補償制度の見直しに関する報告書によれば、個別審査の区分は、分娩に関連して発生した脳性麻痺と考えられる一般審査の区分に該当しない週数、体重の児であっても、胎児の成熟は連続的なものであり、未熟性による脳性麻痺を発症する時期について絶対的な基準を設けることが当時は医学的に困難であり、分娩に関連して発症した脳性麻痺となる場合があることから、個別に判断するために設けられたものである、しかし、我が国では、周産期医療の進歩により早産児の死亡率及び脳性麻痺の発生率が減少し、個別審査で補償対象外とされた児の九九%に分娩に関連する事象又は帝王切開が認められる脳性麻痺があったこと、あるいは、個別審査の要件である低酸素状況について、臍帯動脈血pH等々について、在胎週数二十八週から三十一週の児の脳性麻痺発症の有無で差を認めないこと等から、低酸素状況を要件としている個別審査を廃止し、一般審査に統合されるということでございますので、これまでは、胎児、二十八週以上の子供について一律に、分娩に関連して発症した脳性麻痺かどうか定かではなかったことから、個別に審査されてきた、そうした経緯があったというふうに承知しています。

050 吉田統彦
○吉田(統)委員 委員長も聞いていて分かる、これは全然質問に答えていないです。だから、私はそこを事前に言っているじゃないですか。レトロスペクティブに、差がなかった。それは大臣らしくないですよ、今の御答弁。そんな、答弁書をとうとうと読み上げる。いつももうちょっと正確に我々の意図を酌み取って答えていただける。ちょっと、それはもう今後やめてください。
 レトロスペクティブに調べた結果、日本医療機能評価機構がだから発表しているわけですよ、差がなかったと。だから、そこについて、これは補償漏れかどうかということを私は聞いていただけであって、今のお答えではお答えになっていない。だから、補償漏れであったのか、ないしは補償漏れでないと言えるのかということを大臣に聞きたいんです。

051 加藤勝信
○加藤国務大臣 先ほど答弁をしたように、まさに報告書によっても、当時の判断でいえば、個別に判断するということ、それがいわば妥当であったと。しかし、その後の事情を見て、先ほど、考え方を切り替えたという、それがこれまでの報告書の中身であり、それを踏まえた対応がなされているというふうに承知をしています。

052 吉田統彦
○吉田(統)委員 補償漏れだったということですよね。
 では、同じことでもう少しお話をするんですが、だから、同じ制度が対象とする、分娩に関して発症した脳性麻痺児であったというわけですよね、要は、今大臣がおっしゃったように。一方は、ただ、総額三千万円の補償を受けているわけです。他方、補償を受けられずゼロと、著しい不平等でやはり苦しんでいるわけです。私は補償漏れと言いましたが、別の表現でも結構ですが、補償を受けられていない児とその家族は、大臣、苦しんでいるんです。その視点からお答えいただきたい、では。
 個別審査基準で補償とされた家族と対象外とされた家族のいずれも、繰り返しですが、周産期の要因による脳性麻痺であるということは違いがないということですが、この著しい三千万の不平等に関してどのようにお考えなのかということを大臣にお伺いします。

053 加藤勝信
○加藤国務大臣 今、委員が、産科医療補償制度の議論をさせていただいているわけでございます。そうした様々な障害を持って生まれた子供さんに対する対応というのは、これはまたそれぞれ、いろいろな形でこれまでもやらせてきていただいている。
 ただ、その中で、今おっしゃるこの制度についての議論をさせていただいているわけでありますが、これは民間の制度として、日本医療機能評価機構と保険会社が保険契約を締結し、医療保険者が実質的に掛金を全て負担する形で実施をされているわけでありますし、また、民間の保険契約によってあらかじめ定められた補償の範囲内において支払っている。その範囲については、それぞれその中でお決めになっているということでありますから、二〇二二年一月の制度改正前の補償対象基準により、個別審査で補償対象外となった児を救済するということは、この制度の中においては困難というふうに考えております。

054 吉田統彦
○吉田(統)委員 大臣、今のるるおっしゃったところは、じゃ、分かりました。
 そうすると、その前提でも結構ですので、これらの子供は、個別審査に申請し、対象外にされたわけですね、大臣。対象外とされたわけですよ、三千万もらえなかった方は。それはそうですよね、個別審査で。それは大丈夫ですね。
 ここからちょっとよく聞いていただきたいんですが、その子供に過去に行った審査がやはり正しくなかった、やはり分娩による脳性麻痺だった、それをこれから補償するという話になったときに、報道ベース、そして我々が仄聞する範囲においては、これは大臣が御承知いただかなくても大丈夫なんですけれども、本来の三千万とはちょっと大きく乖離した数字が独り歩きしています。
 そうすると、仮の話になってしまうかもしれないんですが、本来の補償額と差が生じてしまっているわけです、その場合は。数百万、さっきの報道の話です、大臣。報道の話や、今我々が仄聞する一千万とかそういった話を聞くと、なぜ乖離してしまうのか、また、下がるのかということを、やはり論理的な説明をしなければならないと思うんです。
 大臣は、今後、そういった仕組みの中で補償するとなったときに、これは補償すると決まった場合ですよ、やはり、この大きく著しく三千万と差があることに関しては、不平等が生じると思うんですが、そこはどういうふうにお考えになられますか。

055 加藤勝信
○加藤国務大臣 ですから、先ほどちょっと前提を申し上げたのは、この補償制度の中においてということですから、その補償制度をどう考えるかというよりは、この補償制度の中においてどうなるかというと、まさにそれぞれ時期時期の科学的な知見等を踏まえて補償対象基準を事前に決められて、それにのっとって運営がなされてきた。したがって、それより外の話というのは、この制度の外の話でありますから、この制度の中において救済するとか補償するというのは困難だということを申し上げただけであります。

056 吉田統彦
○吉田(統)委員 ちょっと大臣が、なかなか、これは極めて難しい制度なので、ちょっとあれなので、政府参考人の方で結構ですけれども、今の同じお答えになりますか。政府参考人の方からどうぞ。

057 榎本健太郎
○榎本政府参考人 お答え申し上げます。
 今委員お尋ねの、水準がどうなのかという点についての御質問でございますけれども、私どもとしては、その辺、まさに関係者の間でかなり議論があるところでございますので、一概にどうということを申し上げる立場にはなかなかないというふうに考えさせていただいているところでございます。

058 吉田統彦
○吉田(統)委員 局長は今、ただ、大臣、冒頭、厚労省としては承知していないという御答弁がありましたけれども、今の話だと、承知していて、その推移を見守っているというふうに聞こえるんですけれども、そこは大丈夫でしょうか。
 じゃ、さっき大臣、たしか制度内ではという話を前提でおっしゃったじゃないですか。そうすると、制度内で補償するのが筋だと本来は思います。しかし、民間の保険契約ですから、形としては、大臣お分かりのように。それができないということであれば、逆に、国、厚生労働省として何か補償を行いたい、あるいは行う考えがないかは、いかがでしょうか。

059 加藤勝信
○加藤国務大臣 この産科医療補償制度に至る間に様々な議論があって、そしてこの制度がつくられた、特に自民党において議論されてこれができたというふうに認識をしておりますので、それ以外の制度、それ以外の対応ということをおっしゃっておられると思いますけれども、ただ、そういった経緯を見ると、じゃ、それ以外の対応というのがにわかに出てくるのかなというふうには思います。

060 吉田統彦
○吉田(統)委員 じゃ、政府参考人に伺いますが、この事後的救済というものをする場合に、今の剰余金で解決するというのは、実は一番分かりやすい方法なんだと思います。ちょうど剰余金を用いるとぴったりの給付で、可能という、本当にまさになぜか符合しているんですよね、額が、というのがあります。これで事後救済をすることができないのか。なぜできないのか、もししない場合、できない場合は。それをお答えいただけますか。どうぞ。

061 榎本健太郎
○榎本政府参考人 お答え申し上げます。
 今、この制度の在り方の中では、先ほど大臣がお答えになったような考え方で、私どもとしては、現行の仕組みの中では難しいというふうに考えてございますが、一方で、いろいろな関係者がこれについては御意見がございます。そういったことについて、具体的に、私どもとしては、今の段階、行政の立場からどうこうということを申し上げるのはなかなか難しい立場にあるということで、ちょっとそこの点は差し控えさせていただければと思っております。

062 吉田統彦
○吉田(統)委員 ただ、局長、ここは局長にちょっと聞いていきますけれども、少なくとも、金融庁は、剰余金を用いて事後的な救済をすることが可能だと言っていますよ。あくまでそのようなお金の使用が可能か否かを判断するのは金融庁ですよね。個別のこの問題の所管は厚生労働省ですので、スキームやルールを作るのは厚生労働省なんだと思います。これは明確に分かりますよね。
 再度お聞きしますが、金融庁は事後的救済が可能だと言っています、ルール上、仕組みのね。それでも厚生労働省としてはそれをなさろうとはされないんですか。

063 榎本健太郎
○榎本政府参考人 お答え申し上げます。
 済みません、ちょっと今手元に正確な金融庁の御発言について資料がございません、恐縮でございますが、金融庁さんが言っておられるのは、今の積立金というのは、基本的に、現在これを実施していただいている日本医療機能評価機構の持っているものだということになりますので、それをどう扱うかについては金融行政上とやかく申す立場にはないということをおっしゃっていたというふうに理解しております。
 そういう意味で、この積立金をどう使うかという点について、関係者の方々はいろいろな御意見がおそらくあるんじゃないかというふうに思っているところでございます。
 ただ、それを、じゃ具体的にどうするかということについては、この積立金の使途自体、いろいろと関係者の間で議論があった上で、今、一部を保険料の軽減という形で使われているということは承知してございますので、関係者の間でいろいろと議論があるものというふうに考えているところでございます。

064 吉田統彦
○吉田(統)委員 今局長くしくもおっしゃったように、掛金を減らしているわけですよ。天引きであるのとかいろいろ問題があるんですけれども、まだ。三万から大分下がりましたよね。ルールは変えられますから、今くしくもおっしゃったように、ちゃんとやれるようになさったらどうですか。
 この問題を余り長くやるとほかの質問に行けませんので、最後、少しまとめますけれども、この問題は、成育基本法の議員連盟も関心を持っています。議員立法などでも対応することを視野に置いて検討することもあると思うんですが、根本的には、やはりエビデンスが明確でないまま三十二週以降と二十八から三十一週で差異を設けていたことも大きな問題だと思います。それを放置していたのは立法の不作為でもあると思いますので、御家族の救済のために真摯な検討をお願いいたしまして、今後の状況の推移を私も見守りながら、また質問したいと思います。

第211回国会 衆議院予算委員会 令和5年2月21日 

岡本あき子議員

答弁者:

◯加藤 勝信 厚生労働大臣

◯榎本 健太郎 厚生労働省 医政局長

114 岡本あき子
○岡本あきこ委員 立憲民主党の岡本あき子でございます。
 今日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。
 私からは、まずは産科医療補償制度について伺いたいと思います。
 二月八日の予算委員会でもやり取りをさせていただきました。昨年の一月から補償の対象が拡大され、分娩時に発生する脳性麻痺のお子さんが広く救済されること、この間の関係者の御努力に本当に敬意を表したいと思います。
 ただ、一方で、出生した時期で対象外となったお子さんが今なお置き去りにされたままです。広く救済を求めて、まず、先日予算委員会で質疑をさせていただいた中身で、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。
 資料一にありますとおり、加藤厚労大臣、答弁で、これは、運営組織である日本医療機能評価機構が設置する運営委員会等において、その時点の医学的知見や医療水準を踏まえて、また、学識経験者や医療保険者等における議論を踏まえて定められたそうした基準で運営をされ、実際、補償されているという御答弁がありました。
 ただ、その時点の医学的知見や医療水準と御答弁されたんですが、当時、専門委員会では、調査が限定的で、基準を設定することは現実的に困難という意見も付記されておりました。医学的知見というのは十分にあった状態ではなくスタートしたのではないでしょうか。この点、確認をさせてください。

115 加藤勝信
○加藤国務大臣 産科医療補償制度の創設前に日本医療機能評価機構に設けられた産科医療補償制度調査専門委員会において、今お話がありましたように、出生体重や在胎週数により基準を設定することは適当でないという意見もあり、平成十九年の報告書にはそうした記述があるというのも事実でありますが、ただ、一方で、同じ報告書で、成熟児と未成熟児との間で脳性麻痺のリスクは大きく異なっていること、日常診療上も未熟性による脳性麻痺が多い事実を踏まえ、出生体重や在胎週数に基づいた基準を設定することが考えられると記載をされているわけであります。
 さらに、報告書では、出生体重や在胎週数に関して一律の基準を設定したときに、基準より小さい未熟的な児であっても、分娩に係る医療事故により生じた脳性麻痺と考えられる事例があり得ることについても配慮することが望まれるとされ、そして、それを踏まえて、産科医療補償制度の創設に当たっては、医療関係者や学識経験者等が参加する準備委員会において、一般審査と個別審査による補償対象を決定する方法を盛り込んだ報告書が取りまとめられたわけでありまして、医学的にも適切な議論を経て基準が設定されたものと認識をしております。

116 岡本あき子
○ 岡本あきこ委員 医学的に適切な基準だということをおっしゃったので、ちょっと驚きなんです。資料二では、オレンジ線を引いていますけれども、この制度は見切り発車とも非難されているという状況です。
 そもそも、この制度の立ち上がった経緯は、分娩時の医療事故で裁判で争われるケースが非常に増えてきて、紛争が多いことが産科医不足の理由の一つであるとされ、また、産科医不足の改善、産科医療体制の確保というのが喫緊の課題だというところからスタートしておりました。また、データが不足をしているということは、日本医療機能評価機構さん御自身も、早期に創設するために限られたデータを基に設計されたんだということを認めていらっしゃいます。また、そういう状態だからこそ、遅くとも五年後をめどに本制度の内容を検証しなければならない、それを受け止めてこの間の動きになっているかと思います。
 改めて、やはりこの制度自体、制度が発足したことは評価はしているんですよ。早期に解決しなきゃいけない、そういうニーズがあったということは重々踏まえていますし、この制度のおかげで産科医の方々が、医療事故、過失の有無関係なく出産、分娩に臨めるという、産科医の安定供給にも一定の効果があるということは高く評価をしております。ただ、スタート時点ではやはりデータ不足、そして元々改正を視野に入れた不完全な基準との認識の下に始まったのではないかと思います。もう一度お答えください。

117 加藤勝信
○加藤国務大臣 まず、報告書では、適宜必要な見直しを行うという記載もありますが、これは、この制度の発足時、保険料収入、補償金及び事務経費の収支が破綻しないように余裕を持った制度設計とした中で、制度を運用することで明らかとなる改善点について適宜見直しを行う必要があったということから記載をされたもので、よくある、通常、様々な法案でも見直し規定というのは入っているわけであります。
 また、五年後の見直しで補償対象基準も見直しをしているわけでありますけれども、この産科医療補償制度の補償対象基準については、先ほど申し上げたように、運営組織である日本医療機能評価機構が設置する運営委員会等において、その時点の医学的知見や医療水準を踏まえて、学識経験者や医療保険者等による議論を経て定められているわけでありますから、その時点においては、先ほど申し上げた、適切な基準が設定されているものと考えております。

118 岡本あき子
○ 岡本あきこ委員 不適切とは言えないとは思いますが。
 資料三を御覧ください。
 この間、データも一定程度蓄積された部分だと思うんですが、線を引いておりますが、補償対象外とされた事案の多くで分娩に関連する事象が認められる等医学的な不合理が明らかになったと表現をされていらっしゃいます。
 また、医療現場からは、結構、この制度がスタートした直後から、既に現場では、医学的に不合理な点、周産期医療の現場の実態に即していない、こういう御意見もあったと記録されております。
 そのときそのときで医学も技術も進歩をしているところは重々受け止めつつも、やはり早期に、まずは見切り発車でも、まあ、見切り発車とおっしゃらないかもしれませんが、私も一連を見ていると、まずはスタートさせることありきで、その中で、脳性麻痺の事例もなかなか数が少ない中で検証を重ねて、本当であれば、そのときそのときにどんどんリアルタイムで改善をしていくべきではないかと思いますが、この間、新たに昨年一月で制度が変わった、その前に置き去りにされたお子さん、この方々、制度を改正するための検証としても、対象外になったお子さんの事例が使われているんです。
 今の制度でいけば、この方々も当然救済してもおかしくない。医学的な不合理な点が明らかになったということも出ておりますし、三十三週未満のお子さんでも有意差がなかったということも明らかになっています。この制度の中で、一月以前、去年の十二月までに生まれたお子さん、これは五歳まで申請できるので、今申請できるお子さんもいらっしゃるんです、こういう方々が置き去りにされる、取り残される、こういう制度設計ということは、私としては耐え難いと思っています。
 改めて、この方々も対象にできるような、救済ということを検討されることはないでしょうか。

119 加藤勝信
○加藤国務大臣 まず、補償対象基準については、先ほど申し上げたような議論を踏まえて、その時点における様々なデータ等も踏まえながら設定がされているものと考えております。
 また、この産科医療補償制度、これもいろいろな議論がある中で、民間の制度として、日本医療機能評価機構と保険会社が保険契約を締結し、医療保険者が実質的に掛金を全て負担するという形で実施がされているわけであります。民間の保険契約によってあらかじめ定められた補償の範囲内において支払われるということになっているため、個別審査で補償対象外となった子供さんを救済する、今おっしゃったような前倒しというか後ろ倒しということで、ということは現状においては難しいものと考えております。
 また、先ほどの、令和四年一月に個別審査を撤廃した背景でありますが、これもやはり、近年の周産期医療の進歩等によって、実態を見たところで、それを踏まえて個別審査を廃止したという経緯があるものと承知しております。

120 岡本あき子
○ 岡本あきこ委員 私は、医学が飛躍的に進歩をしたというよりは、分析が、明らかになってきたんだと思っております。
 今、民間の保険を活用しているという御答弁がありました。ただ、そもそも民間ですから、無理をしない設定ということで最初は三万円の、保険金の設定をされております。保険金の支給に関しても、保険料に対しては十分余裕があり、剰余金が六百億を超えて六百七十にもなるんじゃないか、あるいは六百三十五億円あるんじゃないか、そういう御批判がかなり前から出ておりました。結果、保険料を下げることにもなっています。
 剰余金を活用してということも、掛金に戻すということも含まれておりましたけれども、一方で、基準とかこういうのも見直すということも並行で行う条件になっていたと思います。これの見直しの検討は、もう二〇一二年から始まっておりました。もう十年前からこういう見直しの検討というのは始まっております。
 しかも、日本医療機能評価機構さん、ここが運営をして、民間保険を活用してですが、ここに委託をするためには、社会保障審議会が中身もちゃんと審査をして、あるいは、一番最初の制度設計も、この社会保障審議会を経ての制度設計になっています。社会保障審議会というのは厚生労働省の諮問を受けて、あるいは重要課題で審議をすることになっていますので、何もないところから、民間が自主的によかれと思って、民間の制度設計で始まったものではございません。
 やはり、政府の意向が反映されての今回の見直し、これは歓迎しますが、どこの基準を適用して、どこまで対象にするのか、これも政府としては、助言をするなり、制度設計の中で取り残される方がいない、こういうような考え、発想に立つことも可能なのではないでしょうか。財政上も決して、無理をする、赤字を覚悟でやれと言っているものではないという中で、厚生労働省としてのお考えはありませんでしょうか。

121 榎本健太郎
○榎本政府参考人 お答え申し上げます。
 今委員御指摘がございました産科医療補償制度の剰余金でございますけれども、これの使途につきましては、本来であれば、費用の実質的な負担者である医療保険者に返還するという選択肢も当時あったわけでございますけれども、学識経験者あるいは医療保険者などによって、運営組織である日本医療機能評価機構の運営委員会でありますとか、今御指摘がありました社会保障審議会の医療保険部会におきまして、複数回にわたって御議論いただいて、安定的な制度運営の観点から、関係者の合意の下で、将来の保険料に充当するということで決まったという状況がございます。
 そういう意味で、今、先生の御意図としては、その剰余金を活用して救済に充てられないかということであろうかと思いますけれども、剰余金の使途を変更するということについては、こういった議論の積み重ねの上でこうなっているということもございますので、これを活用するということはなかなか容易な課題ではないということも御理解を賜ればありがたいというふうに思ってございます。

122 岡本あき子
○ 岡本あきこ委員 制度上容易じゃないという御答弁でした。ただ、前回の予算委員会のときも、やはり政治的な解決ということも必要なんじゃないか。
 特に、障害を持って生まれたお子さん、ほぼほぼ分娩に関連して障害を持ったお子さん、障害があるお子さんです。特に出産に関して重い障害を持ったとなると、産んだ母親はまず自分を責めます。分娩に際して障害ということであれば、あのとき、もしかしたら、もうちょっと自分で我慢をすればよかったんじゃないか、あるいは、医療機関は別なところを頼ればよかったんじゃないか、もしかしたら、陣痛促進剤を断ればよかったんじゃないか。まず自分を責めるんです。出産ですから、母体から生まれるんですから。
 障害のあるお子さんを分断させない、こういうための制度設計ということも必要なんじゃないかと思います。
 今、子供、子育て関係、次元が違う、あるいは異次元とおっしゃってくださっております。障害児、障害のあるお子さんを持った、経済的な支援、あるいは精神的なサポート、こういう意味でも、資料の二で「一時金数百万円案」というのが右側に、タイトルになりますが、こういうところで分断をしたり金額で格差をつけることはあってはならないと考えます。
 政治的判断も含めてですが、是非、加藤大臣、お考えを示していただければと思います。

123 加藤勝信
○加藤国務大臣 出産に当たって、母親の方がまさにいろいろな思いを持っておられる、また、特にその後にこうした脳性麻痺等があれば、またそれに対するいろいろな思いを持たれている、これは十分私も認識を共有させていただいているところであります。
 ただ、その上で、この仕組みは仕組みとしてこれまでやられてきたという、それ自体の背景があるわけでありますので、民間の制度という仕組みを考えると、行政が直接物を言うというのはなかなか難しいかなというふうに考えているところであります。

124 岡本あき子
○ 岡本あきこ委員 今は厚労大臣としての御答弁なのかと思います。
 ただ、先ほども申し上げましたとおり、この制度は政治判断からスタートしていると思います。元々は、自民党さんの中にあります医療の紛争の在り方検討会から始まっているかと思います。ちょっと正式名称はここで確認が取れませんけれども、やはり政治的な判断から始まった制度です。
 この中で剰余金があって、この使い方、保険料に反映させるけれども、制度の見直しも含めて変えていくんだと。その制度の見直しは、将来にわたってのみしか駄目だとはどこにも書いていないんです。ですので、私からすると、この産科医療補償制度の中で、特にやはり子供たちを分断しない、障害がある子供たち、そのお子さんを育てている親御さんをサポートするためにも、格差を生じさせない、分断をさせないということが絶対必要だと思います。この点は引き続き求めていきたいと思います。
 そして、出産時の障害ではないですけれども、障害児福祉手当、特別児童扶養手当、これの所得制限についてもお考えを伺いたいと思います。
 今、児童手当の所得制限撤廃、私たち立憲民主党、日本維新の会で法案を提出させていただきました。やはり、子供を分断させない、そして中間層の方々の子供を持つこと、子育てをすること、このことを支えていく、その意味で法案を出させていただきました。
 最後になりますけれども、資料五を御覧ください。
 実は、欄の一番右側ですけれども、所得が八百万、九百万を超えると、障害児福祉手当、それから特別児童扶養手当、これもほぼほぼ所得制限は同じですけれども、対象になりません。
 この手当のほかに、各自治体では補装具の費用助成等も行っています。重度の障害を持たれると、住宅も改修しなければなりません。子供たちの成長に伴って補装具等も替えていかなければなりません。成長とともに一時利用したいけれども、対象のものがレンタルがなくて、結局購入しなければいけない。
 障害のあるお子さんを育てる経済的負担を考えると、そのほかに更にお子さんを持つべきか、やはり障害があるお子さん、このお子さんに全ての経済を投入するべきか、非常に悩みます。御兄弟を持ったら、その兄弟がヤングケアラーになってしまうんじゃないか、それをさせないためにも、障害があるお子さんが成長した先にも一生を送れるように財産を残さなきゃいけない、本当に不安が高まっています。
 障害の有無にかかわらず、どの子も一人一人の個性が尊重される社会になることが、子供、若者に未来がある世の中になると考えます。この所得制限の撤廃も求めたいと思います。お答えください。

125 加藤勝信
○加藤国務大臣 これまでも申し上げているとおり、障害児に関する手当として、特別児童扶養手当及び障害児福祉手当がございますが、各制度においては、所得制限を設けるかどうかも、個々の制度の目的また支援方法などに応じて、制度の持続可能性、公平性の観点も含めて判断をしているところであります。
 特別児童扶養手当や障害児福祉手当は、精神又は身体に障害を有する児童の生活の安定に寄与するとともにこれらの児童の福祉の増進を図るとの目的に照らして必要な範囲で支給をするということから、制度発足時から所得制限が設けられているところでありますが、しかし、この間、様々な、障害児あるいは障害児がおられる家庭への支援については、都度都度見直しも行わせていただいているところでございます。
 引き続き、こうした経済的支援のみならず、個別のニーズに応じた障害福祉サービス等も含めて総合的に支援をしていくことが重要だと考えております。

126 岡本あき子
○ 岡本あきこ委員 子供、子育て、少子化社会を考えたときに、次元の異なる、異次元のと言ってくださっておりますので、障害があるお子さんにとっても未来がある社会をつくるために、是非御尽力をいただきたいと思います。

第211回国会 衆議院予算委員会 令和5年2月8日 

岡本あき子議員

答弁者:

◯加藤 勝信 厚労大臣

◯岸田 文雄 内閣総理大臣

128 岡本あき子
○岡本(あ)委員 
 産科医療の方、資料十一になります。パネルはないんですが、資料十一で、昨年の一月から、子供が生まれる際に、出産に伴って重い障害を持ったお子さんを対象を広げて救済をすることになりました。これはとても歓迎しますし、障害を持ったお子さんの子育てを応援する意味でもとても喜ばれています。ところが、一昨年の十二月までに生まれたお子さんは対象外ということになってしまっています。ここも分断が起きています。
 子供、少子化、こういう取組を真剣にやるのであれば広く救済をするべきだと思いますが、この点、お考えをお聞きしたいと思います。

129 加藤勝信
○加藤国務大臣 産科医療補償制度でありますけれども、これは、運営組織である日本医療機能評価機構が設置する運営委員会等において、その時点の医学的知見や医療水準を踏まえて、また、学識経験者や医療保険者等による議論を踏まえて定められたそうした基準で運営をされ、実際、補償をされているところでございます。
 今委員おっしゃったように、この間、考え方が少し変わってきたということはありますけれども、そもそもこれは、日本医療機能評価機構と保険会社が保険契約を締結し、医療保険者がその掛金を負担する、いわば民間の保険契約と言っていいんだと思いますけれども、そこにおいて、どういう場合に補償するのか、それが決められて、そしてそれにのっとって支払われる、こういう仕組みで運営されているところであります。

130 岡本あき子
○岡本(あ)委員 今、制度上の理由を説明されました。
 私、これは政治判断も必要なんだと思うんです。総理として、やはり、障害を持って生まれたお子さんを社会で支えていく、障害を持っても二人目、三人目、子供を持つというのは幸せなことだし、障害を持ったお子さんを幸せにしていくこと、このことも少子化対策としては必要だと思います。
 取り残さない、それから分断をさせない。あらゆる知恵を絞って、こういうお子さん、それから子育てを頑張っている方々を分断させない、そういう知恵を一緒に絞りませんか。是非、総理、お答えいただきたいと思います。

131 岸田文雄
○岸田内閣総理大臣 今の厚労大臣からの答弁は、民間の保険であるからして、現状、この制度での救済というのは難しいということであると私も承知をしております。そして、まず、運営組織において、こうした困っておられる親御さんの声をよく聞いていただき、丁寧な検討とそして説明が重要であると思います。
 その上で、政治としてどのように考えるのか、これは、まずは今の制度の中で関係者に御努力いただいた上で考えるべき課題だと思います。

132 岡本あき子
○岡本(あ)委員 政治的にどうあるべきかというお言葉はあったと思います。制度の説明はもう再三されているんです。それで取り残されているという現状を受け止めていただきたいと思います。

第210回国会 参議院 厚生労働委員会 第3号 令和4年11月1日

204 倉林明子
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 まず最初に、産科医療補償制度について質問したいと思います。さきの国会でも様々な方から質問もあったものでございます。
 これ、早産で生まれた子供さんが脳性麻痺となった場合に総額三千万円が補償されるという制度であります。その児とその家族を支援するとともに、産科医療の向上と、これを目指して二〇〇九年に創設された。これ、訴訟の問題も産婦人科では大きな課題となっておりまして、これ資料で付けておりますのは、この制度発足前から訴訟は減りつつあるんですけれども、ぐっと効果を上げているということが、有効に機能しているということが見て取れる、これ一つ、目的の一つですけれども、有効に機能しているということ言えると思うんですね。
 そこで、実はこの制度、検証を踏まえて、二〇二二年一月から、これまで行ってきた個別審査が廃止されました。制度改正されたその理由について御説明ください。

205 榎本健太郎 厚生労働省医政局長
○政府参考人(榎本健太郎君) お答え申し上げます。
 産科医療補償制度の補償対象基準につきましては、運営組織でございます公益財団法人日本医療機能評価機構が設置しております産科医療補償制度運営委員会等におきまして、その時点の医学的知見や医療水準を踏まえて、学識経験者やあるいは医療保険者等による検討が行われまして、当該検討の結果を踏まえて、社会保障審議会医療保険部会における審議を経て定められているところでございまして、その時点における適切な基準を設定しているところでございます。
 補償対象基準につきましては、今御指摘ございましたように、二〇二二年一月の制度見直しがございましたが、この見直し以前は、在胎週数が二十八週以上で出生された子供について、一律に分娩に関連した脳性麻痺か定かでなかったということから個別に審査されることとされていたところでございます。
 しかし、近年の周産期医療の進歩によりまして、在胎週数二十八週から三十二週未満の脳性麻痺について、医学的に未熟性による脳性麻痺ではなくなり、また、実際の医療現場においては成熟児と同じような医療が行われていることなどを踏まえまして、二〇二二年一月より、在胎週数二十八週以上の子供を一律一般審査の対象として個別審査を廃止したということでございます。
 
206 倉林明子
○倉林明子君 ちょっと説明なかなか分かりにくかったなと思うんですけれども、これ蓄積がされたんですね、知見がね。二〇〇九年から一四年までのところで対象外になった子供たちに対しての検証をやったんですよ、検証を。そしたら、何と九九%が実は対象になるという検証結果が出たということなんですよね。つまり、補償対象と同様の分娩に関する事象が発生していたということなんですよね。これまでの個別審査の基準、ここには十分な合理性がなかったというのが改めて分かってこれ見直しに至っていると、ここが大事だと思うんですよ。
 ところが、ところが、ほんまやったら対象やったねという人たちが救済されてないわけです。そこで、親の会もつくられまして働きかけもされてきているんですけれど、検証期間の間に個別審査対象となったもののうち約半数の四百十四件、これが対象外になっているわけですよ。補償を受けられないと。
 ケアしている保護者の皆さんの声、私も直接聞かせてもらいましたけれども、バリアフリー化のために高額のお金掛けて家直したと、あるいはケアするために親が両方働かなあかんと、お金も要ると、そういう中で体壊してしまったというような方もさえあったわけですよ。これ、福祉制度、福祉サービスで補填されるものじゃないんですね。
 本来は補償対象とされるべき早産児、これ結局取り残していいんだろうかと、余りにも不公平ではないかと思うわけですよね。私、改正前に個別審査で対象外にされたこういう全ての子供さんたちに遡って平等な補償ということに踏み込むべきだと思うんです。これ、大臣、いかがですか。

207 加藤勝信 厚生労働大臣
○国務大臣(加藤勝信君) この間の補償の対象基準、さっき委員お話があったように、るるその時々において決めて、そして令和四年からは個別審査の基準を廃止したという、こういった経緯を経る中で、今委員御指摘のような声も頂戴していること、これは事実でございます。
 ただ、この制度、御承知のように、日本医療機能評価機能と保険会社が保険締約を締結をし、そして医療保険者が掛金を全て負担する形で実施され、そしてどういう補償対象をするかというのはその都度都度、産科医療補償制度運営委員会等において、その時点の医学的知見や医療水準を踏まえ、学識経験者や医療保険者等による検討が行われ、またその結果を踏まえて社会保障審議会医療保険部会における審議を経て定められている、こういう経緯を経た上でつくられた、いわゆる保険、民間の保険制度を活用しているということでございます。
 したがって、そもそもその対象になっていないものを後から対象にしていくというのは、心情的なことはちょっと別として、制度としては大変困難であるということは申し上げておかなきゃならないというふうに思っておりますし、今の段階では、こうした制度の仕組みについて御理解いただけるよう丁寧な説明を行っていきたいと考えております。

 208 倉林明子
○倉林明子君 そういう答弁もあって、親の会の皆さんから重ねての要望も出ているんですよね。社会保障審議会のその部会で当事者も入れてもう一回検討してほしいと、こういう声も出ているわけですよ。私、それ、保険契約との関係でもう遡及することは困難だということにしていいんだろうかと。
 実際に今々検証してみたら対象に該当するんだということが明らかになって、改めてこうやって検討を求めておられるわけで、私は、やっぱりこういう取り残されるような児や家族をつくってはならないと思うんです。基金は十分にあって、掛金の値下げも行われているぐらいですよね。そういう意味でも、心情の問題にせずに解決に向けた決断を求めたいと思います。よく検討していただきたい。




第210回国会 衆議院 厚生労働委員会 第2号 令和4年10月26日

222 吉田統彦
○吉田(統)委員 書留を使ったりして送っているから、ただ、それを二回やったり、あと事務通知を相当しているんですよ、今回ね。だから、そういったものが私はかなり無駄だと思いますよ。そういったものをやはりちょっとお考えになって行政を運営していただかないと。これは、大臣というより厚生労働省の問題だと私は指摘させていただきたいと思います。大臣もさっき、無駄じゃないかということをお考えいただいたそうですので、厚生労働省は通知とか確かに多い省庁ですので、慣れちゃって麻痺しちゃっているかもしれませんけれども、もう少しそこは、やはり国民の税金を使っていますから、郵便一枚出すのもそれなりの御負担、皆さん自腹を切っていないからそういう感覚がなくなっちゃうのかもしれないけれども、一般庶民はやはり見ていますから。
 大臣、ちょっとリーダーシップを取って、そこは、もうちょっとスリム化できるところはスリム化していただいて、通知の発出の仕方もお考えください。これはお願いでございます。
 同様に、産科医療補償制度の事務経費についてもお聞きします。
 四年前もやりましたね。もうずっと、これは十何年、私もやらせていただいているんですけれども、二〇一八年の厚生労働委員会で、産科医療補償制度の事務経費について様々お伺いをしています。根底には、やはり、事務経費が無駄に使われて、支払われているのではないかということであります。
 これは、本当に集める保険料の一五%ぐらいは使っていましたよね、前は。これは本当に、役所だからこういうふうになっちゃうのかなと思うんですけれども、一般の会社で、保険料を集めた収益と判断すると、その一五%を事務経費とかに使っちゃって成り立つのかなと私は純粋に思ってしまってずっと言っているんですが、ちょっと減ったようですが、大臣、産科医療補償制度の事務経費、その推移と保険料の額の推移を簡潔に御説明いただけますか。
 
223 加藤勝信 厚生労働大臣
○加藤国務大臣 産科医療補償制度の収入保険料と事務経費でありますが、制度創設時の二〇〇九年には、収入保険料が三百十五億二千五百万、事務経費が四十九億一千五百万円、収入保険料に対する事務経費の割合は一五・六%でありましたが、直近の二〇二一年は、収入保険料が二百二億一千三百万円、事務経費が二十一億八千二百万円、収入保険料に対する事務経費の割合は一〇・八%となっており、ここ数年を見ると、今申し上げた収入保険料に対する事務経費の割合は、おおむね一一%前後で推移しているものと承知しております。
 
224 吉田統彦
○吉田(統)委員 大臣、承認される、認められる対象も増えているわけですよね。その中で事務経費がこうやって減ったのは、恐らく努力をされた部分があるんじゃないかと思うんですけれども、であれば、元々やれたんじゃないかなと思うんですよね。初期なんて、だって、認定される子供がすごくこの制度は少なかったのを、大臣、御存じだと思います。
 ですので、もっとやっていただかなきゃいけないと思いつつ、やはり一〇%でもかなり高い印象を、委員長、受けませんかね。高いですよね。
 ただ、繰り返しになりますが、今はもう、認定される子供の数も、まあ、当初想定される数までは達していないと思いますが、増えてきているので、そういった中で、事務経費が減ってきた。ただ、日本機能評価機構ですよね、たしかプールされるのが。ここも、ちょっと言いづらいですけれども、厚生労働省のOBがかなり入っている組織のように私は感じておりますので、そこも少ししっかりと、自ら李下に冠を正さずで頑張っていただきたいなと一言だけ付言いたします。
 繰り返しになりますが、厚生労働行政、かなり通知や、局長通知や様々なものを出さなければいけないので、よく分かる部分はあるんですけれども、少しやはり、そういった部分をスリム化しないと、社会保障、本当に大事な問題で、文書を出さなきゃいけないのは分かるんですけれども、もう少しスリム化していただきたいなと思います。
 




第210回国会 衆議院 本会議 第4号 令和4年10月25日

令和四年十月十九日提出
質問第二〇号

産科医療補償制度における補償対象外となった脳性麻痺児の救済に関する質問主意書

提出者  阿部知子



 産科医療補償制度は安心して産科医療を受けられる環境整備の一環として、二〇〇九年一月に創設され、日本医療機能評価機構(以下「機構」)に運営組織が置かれ、制度が始まった。
 大きな柱は(1)重度の脳性麻痺で生まれた児に対し、過失の有無にかかわらず三千万円の補償をする、(2)脳性麻痺の原因分析を行い、報告書を提供する、(3)情報分析に基づく再発防止の提言等により産科医療の質の向上を目指す、とされている。
 以降、補償実績と検証が蓄積される中、順次見直しの必要性が生じ、二〇一五年と二〇二二年に改定が行われている。特に二〇二二年改定(以下「二二年改定」)に当たっては、二〇一八年七月二十五日に産科医療補償制度運営委員会委員長より厚生労働省医政局長に対し、「補償対象基準の見直しに関する要望書」(以下「要望書」)が提出された。
 これらを踏まえ、以下質問する。

一 制度の見直しの主体について
 二〇一五年改定(以下「一五年改定」)に先立ち、二〇一四年一月二十日に開催された第七十三回社会保障審議会医療保険部会において、「日本医療機能評価機構ではなく、所管部門である医政局、厚生労働省に検討のワーキングチームをつくるべき」という旨の提案がなされ、「今後は国の検討組織で議論をする」旨、取りまとめられた経緯がある。そのため機構の要望書は「国において本制度の見直しに関する検討を早急に行うことを強く要望する」と結んでいる。
 1 この要望書に対して厚生労働省はどのように対応したのか。厚生労働省における検討の経緯を示されたい。
 2 二二年改定に当たっても、厚生労働省は省内に会議体を設置せず、機構の中に有識者や医療関係団体、保険者等の関係者による検討会を設置させ、前回と同じく社会保障審議会医療保険部会に検討結果を報告させたのみであり、何ら主体的な議論を行っていない。これは社会保障審議会医療保険部会の議論を無視したばかりか、所管省庁としての責務を果たしていないのではないか。政府の見解を示されたい。
 3 産科医療補償制度は単に産科医不足の解消や訴訟回避だけが目的ではない。産科医療の質の向上はもちろん、周産期医療の体制整備、不幸にして障害を負った児の療育の在り方をも視野に入れ、安心して妊娠・出産できる環境づくりに寄与するものであると理解している。直接の所管部署は医政局のはずであるが、制度の見直しに当たって、局長あてに要望書が出されているにもかかわらず、何ら主体的関与を行っていないのはなぜか。

二 補償対象外とされた児の救済について
 従来、二〇一五~二〇二一年生まれは、「在胎週数二十八~三十一週で生まれた児」または「三十二週以上生まれで且つ体重が千四百g未満の児」、二〇〇九~二〇一四年生まれは、「在胎週数二十八~三十二週で生まれた児」または「三十三週以上生まれで且つ体重が二千g未満の児」については、未熟児性脳性麻痺の可能性から、個別審査が行われ、分娩中に低酸素状態にあったことが確認できない場合は補償対象外とされたが、機構において、二〇〇九年から二〇一四年までに生まれた児の審査実績を分析したところ、個別審査で補償対象外が約五十%あり、また、個別審査で補償対象外とされた児の約九十九%で「分娩に関する事象」または「帝王切開」が認められ、医学的には「分娩に関連する脳性麻痺」と考えられる事案でありながら補償対象外となっていたことが報告された。
 これを受けた二二年改定により補償対象基準が見直され、同年一月以降に生まれた児より「在胎週数二十八週以上。低酸素状況を要件とした個別審査廃止」とされた経緯がある。(二〇二〇年十二月四日産科医療補償制度の見直しに関する報告書)
 1 第六十九回社会保険審議会医療保険部会(二〇一三年)に機構から提出された資料は、二〇〇九年当時から在胎週数二十八週以降の早産児における脳性麻痺の発生率が顕著に減少していることを示している。つまり当時から医療水準は十分高かったのであり、当時から脳性麻痺の原因は未熟性ではないという知見はあった。しかし、補償申請期限は満五歳の誕生日であるため、二〇〇九年生まれの児は二〇一五年まで補償対象者が確定しないことから一五年改定の際には、確定実績に基づく検証はできなかったのである。
  実績が十分積みあがった二二年改定において、個別審査の基準には医学的合理性がないとして上記の見直しが行われたが、制度開始から現在までに、新基準に照らして補償の対象となりうる対象者はどのくらいいるのか。政府の把握しているところを示されたい。
 2 これらの児は、当初の補償基準に「医学的合理性がない」として、厚生労働省がいわば瑕疵を認めた個別審査によって補償の対象外とされたのである。ならば何らかの救済措置を講じるべきではないか。例えば、個別審査された結果、補償対象外となった児に対して、再審査請求を可能とするような救済制度を設立し、二〇二二年出生児と同条件で再審査すべきと考えるがどうか。
 3 二〇二二年五月三十日、参議院予算委員会において、岸田総理は自見はな子議員に対する答弁で、「医療保険者が実質的に掛金を全て負担するこの民間の保険制度において保険契約を事後に遡及することの是非については、運営組織と医療保険者との協議によって定められる」と述べているが、分娩の当事者である母親も本来受け取るべき出産一時金から保険料を拠出している仕組みであり、ステークホルダーである。運営組織と医療保険者だけでなく、医療関係団体、患者団体等との会議体を作り、厚生労働省医政局が主導して救済の在り方を議論すべきと考えるがどうか。
 4 二〇〇九~二〇二一年生まれの児で、個別審査で対象外とされた児たちは、原因分析すら対象外とされ、いまだに脳性麻痺の発症原因はわからないままである。しかし、低酸素状況以外の原因による分娩事故であった可能性が否定できない以上、改めて原因分析を行うべきであると考えるがどうか。
 5 二二年改定に向けた制度の見直しの過程において、本制度の剰余金の使途を検討するに当たって、これを将来の掛金に充てるという方針以外に、剰余金を用いて過去に個別審査で補償対象外とされた児に対して何らかの経済的援助を新たに行うことの要否に関して審議ないしは意見交換が行われたか否かを明らかにされたい。行われたのであれば、その具体的内容(審議の時期、会合名、発言者、発言内容等)を明らかにされたい。

三 分娩事故の実態について
 1 制度開始時から現在までに原因分析報告書の送付件数は何件か。またそのうち訴訟提起件数、訴外の賠償交渉は何件あったか。さらに医療側の過失が認められた場合は医師賠償責任保険等に求償する仕組みであるが、制度開始から現在まで、当該件数は何件あったのか。政府の把握しているところを示されたい。
 2 二〇一三年五月、原因分析委員会における調査の結果、脳性麻痺を発症した百八十八件の事案のうち陣痛促進剤を使用したケース五十六件の七十七%に当たる四十三件で、日本産婦人科学会が設けた使用基準を逸脱していたことが判明している。このことは厳格に使用基準を守ることで防止できる重度の脳性麻痺がまだあることを示している。
  産科医療補償制度は医療における無過失補償制度のさきがけであり、産科以外にも制度の拡大を目指すのであれば、医療者と患者の信頼関係を損ねかねない事案は厳正に対処すべきである。厚生労働省はこれらの事案にどのように対応したのか。

 右質問する。


https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a210020.htm

答弁本文

令和四年十月二十八日受領
答弁第二〇号

  内閣衆質二一〇第二〇号
  令和四年十月二十八日
内閣総理大臣 岸田文雄


衆議院議長 細田博之 殿
衆議院議員阿部知子君提出産科医療補償制度における補償対象外となった脳性麻痺児の救済に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



衆議院議員阿部知子君提出産科医療補償制度における補償対象外となった脳性麻痺児の救済に関する質問に対する答弁書


一の1について

 御指摘の「要望書」を踏まえ、厚生労働省においては、令和二年二月に「産科医療補償制度の見直しに関する検討について」(令和二年二月四日付け厚生労働省医政局総務課医療安全推進室及び保険局保険課事務連絡)を発出し、産科医療補償制度の運営組織である公益財団法人日本医療機能評価機構(以下「機構」という。)の理事長に対して、同制度の実績について検証を行うとともに、同制度の見直しに関する検討を進めることを依頼し、当該検討の結果を踏まえて、社会保障審議会医療保険部会において審議を行い、「二二年改定」を行ったところである。

一の2及び3について

 産科医療補償制度の見直しに当たっては、同制度が、公正中立な運営を行う観点から、機構において医療関係団体、患者団体、保険者等の関係者の意見を踏まえて制度の検討を行い、学識経験者や医療保険者等による審議を経て定められた補償対象基準や掛金を踏まえて保険契約を締結して実施されていることに鑑み、機構において関係者の意見を踏まえて制度の見直しに関する検討を進め、厚生労働省において、当該検討の結果を踏まえた対応を行うこととしたものであるため、「所管省庁としての責務を果たしていない」及び「何ら主体的関与を行っていない」との御指摘は当たらない。

二の1について

 お尋ねの「制度開始から現在までに、新基準に照らして補償の対象となりうる対象者」の数については、政府として把握していない。

二の2について

 健康保険法施行令(大正十五年勅令第二百四十三号)第三十六条第一号に定める厚生労働省令で定める基準については、機構が設置する産科医療補償制度運営委員会及び産科医療補償制度の見直しに関する検討会において、その時点の医学的知見や医療水準を踏まえ、学識経験者や医療保険者等による検討が行われ、当該検討の結果を踏まえて社会保障審議会医療保険部会における審議を経て定められているところであり、その時点における適切な基準を設定していると考えている。
 その上で、産科医療補償制度は、機構と保険会社が保険契約を締結し、医療保険者が実質的に掛金を全て負担する形で実施されており、お尋ねの「救済措置」については、学識経験者や医療保険者等による審議を経て定められた補償対象基準や掛金を踏まえて締結された保険契約に定められていないため、現状においては困難であると考えている。

二の3について

 産科医療補償制度については、機構と保険会社が保険契約を締結し、医療保険者が実質的に掛金を全て負担する形で実施されており、その保険契約の内容については、学識経験者や医療保険者等による審議を経て定められた補償対象基準等を踏まえ、機構と保険会社において定められるべきものであると考えている。また、御指摘の「医療関係団体、患者団体等」については、機構における産科医療補償制度運営委員会等に参画しているものと承知しており、「分娩の当事者である母親」に対しては、同制度の仕組みやこれまでの見直しの内容等について機構から丁寧に説明することが重要であると考えている。

二の4について

 産科医療補償制度は、分娩に係る医療事故により脳性麻痺となった児及びその家族の経済的負担を速やかに補償するとともに事故原因の分析を行い、将来の同種事故の防止に資する情報を提供すること等により、紛争の防止・早期解決及び産科医療の質の向上を図ることを目的としており、その時点の医学的知見や医療水準を踏まえ、その時点における適切な基準に照らして、分娩に係る医療事故と認められるものに起因する一定の障害等の状態となった出生者等に対して、補償を行っているところであり、御指摘の「二○○九~二○二一年生まれの児で、個別審査で対象外とされた児たち」は、分娩に係る医療事故による脳性麻痺と認められないことから補償の対象外となった者であることから、改めて同制度において原因分析を行うことは考えていない。

二の5について

 お尋ねの「剰余金を用いて過去に個別審査で補償対象外とされた児に対して何らかの経済的援助を新たに行うことの要否」について、社会保障審議会医療保険部会において審議及び意見交換は行っておらず、機構においても審議及び意見交換は行われていないと承知している。

三の1について

 お尋ねの「原因分析報告書の送付件数」については、機構において令和元年八月七日に開催された第四十一回産科医療補償制度運営委員会及び令和四年七月六日に開催された第四十七回産科医療補償制度運営委員会の資料によれば、制度開始から令和三年度末までの間における原因分析報告書の送付件数は三千百八十七件である。また、令和四年一月十九日に開催された第四十六回産科医療補償制度運営委員会の資料によれば、制度開始から令和三年十一月末までの間における原因分析報告書の送付件数のうち「訴訟提起件数」は二十五件、「訴外の賠償交渉」の件数は三十三件であり、「医師賠償責任保険等に求償」した件数については、政府として把握していない。

三の2について

 御指摘の「原因分析委員会における調査」において判明した事案への対応については、機構の産科医療補償制度再発防止委員会が平成二十五年五月に作成した「第三回産科医療補償制度再発防止に関する報告書」において、子宮収縮薬の使用に当たっては、「インフォームドコンセントを得た上で、用法・用量を守り適正に使用する」こと等が重要であるとされており、厚生労働省においては、同報告書について、都道府県等に対し、医療機関等への周知を依頼している。




https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b210020.htm





第208回国会 参議院 予算委員会 第18号 令和4年5月30日

442 自見はなこ
○自見はなこ君 
 次のスライドをおめくりください。産科医療補償制度になります。
 二〇〇九年に、分娩に関連して生じた、これ重度の脳性麻痺の患者様の救済、家族の経済的負担を速やかに補償するとともに、医事紛争の早期解決、原因分析を通じた産科医療の質の向上を目的にこの制度は運用を開始されたところでもあります。そして、この開始以後、どういう状況に起因するかのエビデンスの蓄積が随分と進んでまいりまして、現在では細かな要件のところが撤廃をされる形にもなってございます。
 また、この間、当初の掛金三万円が現在はこれは二万二千円までとなっておりまして、また、六百三十五億円のプールがある、基金があるという状態になっていまして、これが優良戻しとして契約者であります日本医療機能評価機構の運営組織の方に戻っております。
 このエビデンスの中身、左側御覧いただきたいんですが、要件が今年の一月に大きく変わっておりまして、細かな、低酸素の、低酸素の所定の要件というものを撤廃しております。このときに、実は、本来であれば救済の対象であった方々が約五百人いるとも言われておりますが、医学的なエビデンスの積み重ねによって従来の基準に医学的な根拠がないことが分かったために改定された、文句を入れたとされておりますが、であればなおさら、そうした従来の基準で対象外とされた子供たちに私は何らかの救済措置が必要ではないかと思ってございますが、このコロナ禍であります、子供たちの数もうんと減っておりますので、この制度設計自体も恐らくこの検討、運営組織で見直していくタイミングが来るんだろうと思っております。親の会のお声も聞きながら、是非寄り添った対応必要だと思います。そして、この公的保険の被保険者には脳性麻痺の家族がいるということであります。
 総理のお考えはいかがでしょうか。
 
 443 岸田文雄 内閣総理大臣
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 医師会を始めとする医療関係者や保険者などの御尽力により、この御指摘の産科補償制度、これは平成二十一年にできたこと、このことについては敬意を表したいと思います。
 そして、御質問の点については、医療保険者が実質的に掛金を全て負担するこの民間の保険制度において保険契約を事後に遡及することの是非については、運営組織と医療保険者との協議によって定められるものであります。
 そして、現状、この運営組織において、この制度での救済、これは難しいと承知をしていますが、しかし、親御さんの声をよく聞いていただき、丁寧な検討と説明、これが重要であると考えます。
 政府としては、脳性麻痺により障害を抱えたお子さんやその御家族に対して、日常生活における基本的な動作の指導等を行う児童発達支援、自宅において入浴や排せつの介護等を行う居宅介護、そして、御家族が病気などの場合に短期間、施設で受入れ介護等を行う短期入所、こうした支援を行っているところですが、この産科医療補償制度の対象外の場合においても、こうした障害福祉サービス等を適切に組み合わせていく中で障害のあるお子さんとその家族が安心して暮らせるよう、これ適切に対処してまいりたいと考えております。
 
444 自見はなこ
○自見はなこ君 ありがとうございます。親の声も、親の会の声もしっかりと聞いていただき、丁寧に対応するというお言葉、本当にありがとうございます。
 脳性麻痺のお子さんを育てるということは大変なことでございます。上のお兄ちゃんやお姉ちゃんの塾のお迎えに行きたいけど行けないとか、あるいは、子供にもっといい療育を施してあげたい、様々な思いの中で、御両親や皆さん、関係者は揺れております。是非、丁寧な丁寧な進め方、お願いしたいと思います。ありがとうございます。
 



第208回国会 参議院 内閣委員会 第18号 令和4年5月24日

029 自見はなこ
○自見はなこ君 
 次の質問に移ります。産科医療補償制度についてであります。
 もうこの件は今まで幾度、今までに私は財政金融委員会でも質問させていただきましたし、ほかの政党も含めて幾度もこの課題はここ最近国会でも質問が相次いでいると思いますので、問題意識については御理解を賜っていると、厚労省には御理解賜っていると思います。
 資料の十一、十二、そして資料の十三であります。
 この制度は、産科医療補償制度でありますけれども、とにかく産科医療を守るためという立て付けから始まっているというところがまず認識をしなければいけないことであります。それは、紛争の早期解決を図るということと、事故分析をして産科医療の質の向上を図る。これ、まあ大野事件などがありまして、産婦人科の医療の現場から産婦人科医がこのままではいなくなってしまうと。また、脳性麻痺というお子さんたちは原因がなかなか分からないということからこういう制度が当時立ち上げられたわけでありまして、平成二十一年から今までいろんな運用を補償対象においてもしていただいております。
 その中で、当初、分かりやすく言うと、狭い範囲から始めて、そしてエビデンスが積み重なったということでその補償対象を広げてきたということが今までの経緯でありますが、特に今年に入ってからのこの補償を変えたときに、今までであれば補償の対象にならなかった子たちが実は対象ですよという事態が生まれたというのが、分かりやすく言うと、今回の問題であります。
 資料の十一にはそのスキームも書いておりますが、保険者がこれは妊産婦に対しまして出産一時金を払うときにこの分娩費のところに掛金を上乗せして払ってくれているということであります。
 その次のページを御覧いただきたいんですが、これは新聞の記事、西日本新聞の記事であります。
 この間、厚生労働大臣の質疑も変わってきております。全く取り扱えませんと、制度として変わり、制度は制度ですからというところから、検討しますという御答弁までいただいております。
 また、私は二十六日の参議院の財政金融委員会のときにお伺いしたんでありますが、これは運営組織というものがありまして、それが日本医療評価機構に入っております。これ、契約者なんですが、これがいろんな中身を決めるんですが、実際に運用してくださっているのは民間の保険会社なんですね。
 ここに対する積立金というものが、次のをめくっていただきますと、資料十三でありますが、二〇二〇年の十二月四日の時点でありますが、六百三十五億円プールがあるということであります。また、金融庁に質問いたしましたところ、このプールされている基金をどのように使うのかということは、これは特段ルールが、国が作っているということではなく、国というのは金融庁が何かを言っているというわけではなくて、これは、民間保険会社の規則監督上、特段、金融庁の立場から問題はないんだということでありまして、金融庁としてはこれは問題がないということであります。
 そこで、厚労省でありますけれども、この件でありますが、私は当時、医政局として地域医療の特に産科医療を守るのだという立て付けから始まったということは承知をしています。それを理解してくれた保険局が、保険者との間の折衝の中でこういった特異な仕組みをつくってくださったということも承知をしています。立て付けが産科医療を守るのだとなっているんですが、私はやっぱり立て付け自体を見直す時期にも来ているんだろうと思うんですね。これは、脳性麻痺の子供たちをどのように本当に守っていくのかというところの観点が実はちょっと欠如しています。
 ですから、ここは運営組織でいま一度、私は、これ五百人の方が対象から漏れているんですけれども、それが十二月三十一日に生まれた子と一月一日に生まれた子で対象が変わっちゃっているんですよね。ですから、これって何なのって当然思うと思うんですよ、五百人もいますから。ですから、是非、いま一度この救済については、私は、この保険者の御理解いただくのはごもっともなんですが、考える時期に入っていると思います。
 前回も御答弁いただいたときに思ったんですけれども、基本的にはすごく大事な点が欠落しているんです、厚労省の答弁に。それは何かといいますと、その保険料を払っている被保険者に脳性麻痺の家族がいるということです。そこの感覚がないまま、保険者の持っているお金は保険者のものですよ、もうそれ以上は保険者との間で我々は交渉できませんからという答弁なんですけど、そうじゃないでしょうと、脳性麻痺の家族も被保険者でしょうという観点がないんですね、御答弁の中に。
 是非とも、脳性麻痺のお母さんたちが今いろんなデモといいますか、署名活動をされていまして、私はそれは本当に申し訳ないことだと思っています。脳性麻痺のお子さんたちを抱えているお母さんたちが一番にしたいのは子供の養育です、療育です。そこをさせない現状というのは速やかに私は改善すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 
030 古賀篤 厚生労働副大臣
○副大臣(古賀篤君) 自見委員からこの産科医療補償制度について以前より御質問いただいているわけでありますので、制度の説明はもう不要だと思っておりますが、まず、大変問題意識を強く持っておられることに、受け止めさせていただきたいと思っております。そして、今冒頭御紹介いただいたように、やはりこの制度自身が安心して産科医療を受ける環境整備、そして地域医療を守るという趣旨だということも十分御理解いただいての御質問だというふうに理解しております。
 この制度について少し丁寧に御説明したいと思いますが、先ほど保険制度で保険者という御指摘もありましたが、医療保険者が実質的に掛金を全て負担する制度の中で実施されているところでありまして、その中で補償対象基準について、各々の時点での医学的知見や医療水準を踏まえて審議会で決定してきたという歴史がございます。その際に、掛金とともに決定しているところでありまして、こういった保険制度の中で医療保険者の協議により定められた掛金の中には、今まさに御質問あった、事後に遡及して補償するということは想定されていないというわけでございます。
 その上で、六百三十五億円という剰余金の御指摘もありました。剰余金の使途につきまして、社会保障審議会医療保険部会においても複数回にわたって議論をしまして、この剰余金の使途をどうするのか、そして、結果として、安定的な制度運営の観点から、この医療保険者の合意の下で将来の保険料に充当するというふうに決定されたわけであります。ですので、剰余金はあるものの、使途の変更をして活用するということは容易ではないということは是非御理解いただきたいと思います。
 何より、何回も御質問いただいておりますが、脳性麻痺で苦労して子育てをされているお母様、お父様方、そして、そういった中で、いろんなこの制度の見直しの中で対象外になったという思い、これはしっかり受け止めさせていただく中で、制度の仕組みについて御理解いただくように説明してまいりたいと考えております。
 
 031 自見はなこ
○自見はなこ君 ありがとうございます。
 引き続きこれは議論を続けていくべき案件だと思っております。時代が大きく変わっているので、過去の審議会で決めたからそれで終わりですということではもうないんだと思いますから、それは政治家として受け止めていただければ有り難いなと思います。
 



第208回国会 参議院 厚生労働委員会 第14号 令和4年5月17日

060 福島みずほ
○福島みずほ君 
 次に、産科医療補償制度についてお聞きをいたします。
 産科医療補償制度の個別審査で補償対象外となった子供を持つ親の集まりの人たちから要望を受けました。出産トラブルで脳性麻痺になった子供を補償する産科医療補償制度は重要な役割を果たしています。九九%の妊産婦が加入をしています。補償対象になると、補償プラス原因分析が行われますが、出産、週数二十八週、三十二週未満は個別審査の基準で審査をされてきました。二〇二二年生まれの子供から個別審査が撤廃され、二十八週以上は無条件に補償対象となります。
 この基準で、今まで補償対象外となった人たちも救済すべきではないでしょうか。
 
061 後藤茂之 厚生労働大臣
○国務大臣(後藤茂之君) 産科医療補償制度は、原因のいかんによらず、分娩に係る医療事故によりまして脳性麻痺となった子供やその家族の経済的負担を速やかに補償することを目的とする制度でございます。本制度は、補償金に対し公費の補助があるものではなく、医療保険者が実質的に掛金を全て負担する保険制度により実施をいたしております。この制度の補償対象基準については、各々の時点での医学的知見や医療水準を踏まえまして、専門家や学会関係者による専門的な議論を経た上で、医療保険者及び学識者が参画する審議会保険部会において掛金とともに決定されております。
 このような保険制度において、医療保険者の協議により定められた保険契約を事後に遡及するということは制度的にはなかなか想定されていないところでありまして、こうした制度の仕組みについて引き続き丁寧に説明をしてまいりたいというふうに思っております。
 
062 福島みずほ
○福島みずほ君 もう今は、個別審査じゃなく救済するんですよね。そうしたら、やはりその基準に従って救済をすべきだということを、これを是非実現してください。





第208回国会 参議院 財政金融委員会 第12号 令和4年4月26日

009 自見はなこ
○自見はなこ君 
 さて、次の質問に入ります。
 次は金融庁にお伺いをして、その後、厚労省にお伺いをしたいと思います。
 ここは、先週からこの質問は私以外にも二人の国会議員の先生方がそれぞれの委員会で質問しております。産科医療補償制度についてであります。先週は仁木博文先生が質問し、また、昨日であったと思いますが、音喜多先生が質問しております。
 この産科医療補償制度というのを聞いたことございますでしょうか。これは、分娩の事故というものがありました、大野事件でありますが、このときに裁判でこれがどうだったんだっけというふうに争われるケースがあって、このままだと産婦人科医のなり手が少なくなってしまうよねという、そういった時代背景、強烈な時代背景です、そういったものがあってできた制度であります。
 この制度でありますが、その補償の対象ですが、二〇二二年一月の改定により変わっているんですね。これは、分娩、生まれた方が分娩に関連して脳性麻痺だというふうに診断されると、認定されますと一件当たり三千万円というお金がいただけるというものなんですけれども、その要件が変わっております。これ、当初は、始まったときはまだその脳性麻痺に対する知見も少なかったことから、非常に厳しい範囲でやっていたんですね。今エビデンスが積み重ねられてきまして、そのエビデンスによって基準をある意味適正化した、結果としては広げたということになっております。
 二〇一五年の一月から二〇二一年十二月まで出生した患者様、赤ちゃんですね、に求められた要件というのは、在胎週数三十二週以上かつ出生体重千四百グラム以上、又は在胎週数二十八週以上で低酸素状態を示す所定の要件を満たして出生したことだったんです。これが、そのさっき言ったちょっと厳しかったんですね。これは、さっきも申し上げた広げたということで、今年の一月から在胎週数二十八週以上であることになったんです。個別審査というものがなくなった。これは、書いてございますけど、厚労省の方に、医学的エビデンスの蓄積による改定だということであります。
 この現在の補償基準、要するに十二月三十一日までに生まれた方と一月一日までに生まれた方で全然このように基準変わりましたので、あれっと、自分の子供、もしかしてこれだったら対象だったんじゃないのかという方たちが全国に五百名程度いると言われています。五百名です。
 脳性麻痺のお子様を育てるということは本当に大変なことなんですね。子供は本当にかわいいので、愛着もあるし、一生懸命やりたいんだけど、でも、いろんなことが思うようにいかなかったりとか、それから、第二子、第三子、自分の兄弟、自分の子供たちやほかの子供たちの塾のお迎え行くのになかなか思うように行けないとか、その子供に対しても療育したいんだけどなかなかできない、私たちが思っているよりもはるかに、お父さん、お母さん、御家族、苦労をしているんです。
 この現在の補償対象では救済される方々でも、今五百名というふうに申し上げました、これははざまだと思っています。私は、これは切り捨てるということではなくて、何らかのキャッチアップ制度か救済か、言葉は分かりませんが、何らかの手当てがこれは必要だというふうに思っております。
 産科医療補償制度については、これ特殊な仕組みで運用されています。公的医療保険からこれは支出される出産育児金ですね、出産育児一時金から掛金というものを支払っています。制度を運用するのは、これは日本医療機構であります、日本医療機能評価機構でありまして、ここを契約者として民間保険会社が保険料を払っていまして、余剰金はプールをされています。そのプールが、公表されている時点で、二〇二〇年の十二月時点で六百三十五億円、基金としてプールされています。
 私がまず金融庁に聞きたいのは、この余剰金の使い道であります。この日本医療機能評価機構とそれから医療保険者などが合意をした上で、改定前の基準で補償対象外とされた方々への救済に充てることについて、金融庁として何らか見解をお示しいただきたいと思います。
 
010 栗田照久 金融庁監督局長
○政府参考人(栗田照久君) お答え申し上げます。
 今お話がありました産科医療補償制度におきましては、この日本医療機能評価機構が契約者、分娩機関が被保険者となって、その引受けを民間の保険会社が行っていると承知しております。
 この制度の運営により生じた剰余金につきましては、保険会社から日本医療機能評価機構に返還され、プールされているというふうに承知しております。
 したがいまして、この剰余金につきましては既に保険会社から返還されたものでございますので、その使途についてはこの産科医療補償制度の中で決められることでございまして、保険会社の規制監督上、特段の問題があるという話ではないというふうに承知しております。
 
011 自見はなこ
○自見はなこ君 ありがとうございます。特段、これ運営の組織に任せられているということで、金融庁として特段問題はないという御見解を示していただきました。優良戻しであるということであります。
 そこで、厚生労働省にお伺いをいたします。
 産科医療補償制度の問題につきましては、四月二十二日で、衆議院の厚労委員会で、仁木博文委員に対して後藤大臣の答弁というのはあくまで制度論のみのお答えでした。制度だけです。一歩踏み込んで、昨日の音喜多先生のところには、もう少し検討しようかなというような一歩踏み込んだ感覚の答弁をいただいたと思いますが、私は更に与党として是非御質問させていただきたいと思います。
 今年一月、岸田総理は、一年間我が国をこんなふうに運営したいなというふうに示していただく施政方針演説で、子供政策を我が国社会のど真ん中に据え、縦割り、横割り、年代割り、制度の壁を越えるとおっしゃっています。そして、こども家庭庁が、今まさに設置法が、他委員会でありますが審議をされています。こういうこどもまんなかを政権全体としてやろうというときに、あくまで制度論でお答えするというのは私はいかがかなというふうに思っております。
 こういった意味では、制度の壁を越えて子供政策をやるのだと言っている岸田政権の下におられる厚生労働省として一体これをどうお考えなのか、お答えください。
 
012 大坪寛子 厚生労働省大臣官房審議官
○政府参考人(大坪寛子君) お答え申し上げます。
 この産科医療補償制度につきましては、その趣旨は先生が御説明をいただいたとおりでございます。
 この制度の補償対象基準につきましては、その時々の医学的知見ですとか医療水準を踏まえまして、平成二十一年創設以来二度の見直しを行ってまいっております。現在は、この新たに見直された補償対象基準、令和四年一月一日以降に生まれたお子様から適用されるといったこと、先生の御指摘のとおりになっております。こういった制度の仕組みにつきましては、専門的な議論を経た後、医療保険ですとか学識者が参画する社会保障審議会医療保険部会において掛金とともに決定をするというプロセスを経て制度運用をしております。
 この本制度ですが、補償金に対しまして公費の補助があるものではなく、医療保険者が実質的に掛金全てを負担する保険制度によって実施をしているところでございまして、この保険契約は医療保険者の協議により定められておりますこと、また、周産期医療の進歩に合わせて設定された対象基準、掛金、こういったものに基づいて、お子様の出生年ごとにその都度分娩機関と妊産婦の間で契約を締結した形で制度を運用しております。
 したがいまして、これが直ちに制度として事後に遡及するような仕組みにはなっていないところでございまして、制度を預かる立場といたしましては、こういった仕組みを引き続き丁寧に説明してまいりたいというふうに考えております。
 
013 自見はなこ
○自見はなこ君 ありがとうございます。
 重要なことが抜けているんですね。これは何かといいますと、この妊婦さん、脳性麻痺を育てている、今、お母さんだと思いますが、あるいは御家族、この方たちも保険料払っているんですね。被保険者です。
 ですから、保険者ができないと言っているからできませんということでは多分なくて、これは、当時、その産科医療全体が危機になるということで医政局が大変強い問題意識を持って、保険局に頼んで、保険局が、ある意味でいえば、この公的医療保険の一部を上乗せする形で保険料に掛けていいよと言ったからできた制度です。そういった中では、これ、厚労省はもう少し考えなければいけないと私は思っています。
 ここが抜けているんです。本当、保険料払っているよねと、みんな。ですから、保険者が大変強くて、私たち何も、交渉すらできませんと、そういう話なのかということを言っているんです。もう一度お答えください。
 
014 大坪寛子 厚生労働省大臣官房審議官
○政府参考人(大坪寛子君) お答え申し上げます。
 先生御指摘をいただきましたように、これは保険制度、保険契約になっておりますけれど、その都度、分娩機関と妊産婦との間で負担も含めて契約を締結しているという形になっております。
 これは、審議会の中でも、様々な立場の先生方に入っていただいた中で、合意形成を経てこういった制度をつくっているということになっておりますので、こういった制度の仕組みは御説明をしてまいりたいと考えております。
 
015 自見はなこ
○自見はなこ君 この運営組織でいま一度議論を開始していただきたいと思います。五百人の方々が声を上げているの、私は当然だと思いますよ。ですから、こういったことを政権全体で、こどもまんなかと言いながら、この一日違いで要件が全部撤廃されて、今まで個別審査だった人たちが対応にならない、これは何とか避けていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。





第208回国会 参議院 決算委員会 第6号 令和4年4月25日

  208 音喜多駿
○音喜多駿君 
それでは次に、産科医療補償制度について伺います。  これは、出産時の酸素欠乏などのトラブルで脳に重い障害を負った赤ちゃんの家族に総額三千万円が支払われる制度です。この制度が一月に改正され、補償の対象が広がることになりました。二〇二二年以降の出生児に対しては個別審査が撤廃されることになったということでありますけれども、この理由をまずは厚労省の参考人にお伺いいたします。   

209 伊原和人 厚生労働省医政局長
○政府参考人(伊原和人君) お答えいたします。  産科医療補償制度の補償対象基準につきましては、その時点時点での医学的知見や医療水準を踏まえて、医療保険者や学識者が参画する審議会において決めております。先ほど先生から御指摘がございましたように、今年の一月以降、新たな基準が見直されまして適用されております。  見直し前は、在胎週数が二十八週以上三十二週未満で出生した子供につきましては、分娩に関連した脳性麻痺かどうか定かでなかったことから、個別に審査し、低酸素状況があると認められた場合にのみ補償対象としてまいりました。  見直しに当たりましては、我が国の周産期医療の進歩によりまして早産児の脳性麻痺発症率が減少しており、特に在胎週数二十八週以上の子供で改善が著しくなったことを踏まえまして、在胎週数二十八週以上で出生した子供については、分娩に係る脳性麻痺と考えられるようになったと判断いたしまして、在胎週数二十八週以上の子供については原則補償対象とし、個別審査を廃止いたしました。 

 210 音喜多駿
○音喜多駿君 医学的な見知発達によってこれは変わったということでありますけれども、しかしながら、これ、過去の個別審査で補償の対象外となった子供の御家庭はこの新基準が遡及適用されないままとなっています。この理由を事前のレクチャーで伺ったところ、その当時の基準においては適切であったからという、いわゆる行政の無謬性に基づく、まあ私から見たらちょっと柔軟性に欠ける心ない対応と、典型的なお役所の回答が返ってまいりまして、いささか私はそれは失望しております。  こうした対応は見直すべきであって、遡及適用させる必要性があると考えるところでありますが、同時に、この遡及適用については、その許容性、実現可能性も判断基準として重要であります。  そこで、二〇二一年まで二十八週以降の個別審査で補償対象外とした割合及び補償対象外となった方の人数を厚労省に、参考人に、また、この産科医療補償制度の剰余金は現在どれぐらい残っているのかどうか、参考人にお伺いいたします。   

211 伊原和人 厚生労働省医政局長
○政府参考人(伊原和人君) この制度を運営しています公益財団法人日本医療機能評価機構の公表資料によりますと、今月十五日までに判定結果が出ている個別審査の件数では、全体で千百六十九件、うち補償対象が六百二十二件、補償対象外が五百四十四件となっております。補償対象外の割合は四六・五%でございます。  それから、剰余金でございますけれども、二〇二〇年五月末時点における剰余金の累計残高は六百三十五億円となっております。   

212 音喜多駿
○音喜多駿君 約五百人の方が新基準であれば救われたかもしれないと、でも対象外、そして剰余金は約六百億円あるということであれば、この制度における補償額一人当たり三千万円ですから、単純計算でこれ剰余金で補うことは十分に可能なわけであって、これ、遡及適用については必要性に加えて許容性も備わっていると考えます。新基準の適用によって、歩行が可能であったり会話が可能な比較的軽度な脳性麻痺のお子さんが補償を受け取ることができる一方で、旧基準が適用されたことによって、寝返りもできない全介助の重度心身障害をお持ちのお子さんには補償金が行き渡らないという不公平な事態も現実的に生じていると、もうこれ、深刻な陳情が届いています。  そこで、大臣、これ、二〇二一年までに個別審査で補償対象外としたお子さんについても今回の新基準で当てはめて遡及適用をするべきであり、それに必要な財源も十分にあると考えますが、大臣の見解をお伺いいたします。   

213 後藤茂之 厚生労働大臣
○国務大臣(後藤茂之君) 産科医療補償制度は、原因のいかんによらず、分娩に係る医療事故によりまして脳性麻痺となった子供やその家族の経済的負担を速やかに補償することを目的とする制度でございます。本制度は、医療保険者が実質的に掛金を全て負担する保険制度により実施されております。  この制度の補償対象基準については、各々の時点での医学的知見や医療水準を踏まえて、専門家や学会関係者による専門的な議論を経た後、医療保険者や学識者が参画する審議会において掛金とともに決定されております。こうした保険制度において、医療保険者の協議により定められた保険契約を事後的に遡及して変更するということの是非を検討する必要があるというふうに考えております。  こうした医療保険者が全て掛金を負担している保険制度の仕組みについて、引き続き丁寧に、どういうふうなことが考えられるのか、説明もしながら考えていきたいと思っています。   

214 音喜多駿
○音喜多駿君 時間が参りました。  雇用調整助成金などでも遡及適用したという例というのはございますので、是非これは当事者の深刻な意見に耳を傾けていただいて、改善を強く要望しておきますので、よろしくお願い申し上げます。  ありがとうございました。




第208回国会 衆議院 厚生労働委員会 第16号 令和4年4月22日

119 仁木博文
○仁木委員  今日は、三枚目の資料として、産科医療補償制度、過去に福島県の県立大野病院で、お産に際して、癒着胎盤でオペをして帝王切開をしていたドクターが、いわゆる出血多量で亡くなってしまった事案を受けて、それが患者さんの前で逮捕までされるというふうな事案になって、起訴まで受ける。これを受けて、全国の医療関係者が立ち上がりました。それに倣ってというか、その後つくられた制度でございます。
 私がこの三枚目の資料で申し上げたいのは、実は、今回、四月から不妊症の保険治療も始まっておりますが、その以前のいわゆる自費診療の段階で多額な負担、これは精神的なものそして経済的なものも踏まえて、やっと愛する家族が妊娠した、そして出産に際していたんですけれども、下からのいわゆる経腟分娩にこだわっていて、CP、いわゆる脳性麻痺になってしまった方がいらっしゃって、私が当選した後に、今回また事務所の方に要望がありました。
 つまり、その方は、この表でいいますと左の側、いわゆる週数が足りないだけでこの補償対象からはじかれてしまうわけですね。実は、これは私もレクを事務所の方でしまして、やはり官僚の方はお決まりどおりの回答をいただきます。
 大臣、こういうことは厚生労働行政でたくさんあることだと思います。薬害とか、いろんな、過去に遡及して支援していくということがあると思います。ですから、政治家同士の話合いだと思うんですけれども、比較的、この産科医療補償制度の財源に関しましては、過去に、一回のお産で三万円をいわゆるプールしていっていました関係上、例えば出産数が一年間百万人を超えていたときはおおよそ三百億円あり、そして約二百億円ぐらい余分にたまっていた経緯があって、いつの間にか、その三万円というものが下げられています、安くなっています。
 これは、逆に言えば、財源が豊富にあるわけなので、こういったことの、いわゆる、過去に基準を満たしていないがためにそういった補償を受けられない、されど今の現状においては補償を受けられる対象な、そういう状態の方に対しての救済、大臣、これは行政的には厳しい答えかもしれませんが、何とぞ前向きな形を答えていただけないでしょうか。

120 後藤茂之 厚生労働大臣
○後藤国務大臣 産科医療補償制度は、分娩に係る医療事故により脳性麻痺となった子供やその家族の経済的負担を速やかに補償することを目的とする制度であります。
 本制度は、補償金に対し公費の補助があるものではなくて、医療保険者が実質的に掛金を全て負担する保険制度により実施をいたしております。この制度の補償対象基準については、その時点時点での医学的知見や医療水準を踏まえて、専門家や学会関係者による専門的な議論を経た後、医療保険者や学識者が参画する審議会において、掛金とともに決定をされております。
 こうした保険制度において、医療保険者の協議により定められた保険契約、補償対象や掛金を事後に遡及して変更することは非常に厳しい、難しいと考えておりまして、こうした制度の仕組みについて、引き続き丁寧に説明をしてまいりたいと。
 あらかじめ先生が求められたのは、こうした制度の説明を求められたのではないというふうに思われますけれども、私も、政治家でもありますが、厚生労働省の大臣なので、やはり制度論として申し上げざるを得ないことは申し上げざるを得ないというふうに思っています。
 それから、剰余金があるならばというお話に、先ほどの三百億とおっしゃった話もつながるんだろうと思いますけれども、剰余金の使途については、本来であれば、費用の実質的な負担者である、全額出しているのは医療保険者ですから、そこに返還するという選択肢もあったものの、当時、医療保険者や学識者が参画する審議会において複数回議論を行って、安定的な制度運営の観点から、医療保険者の合意の下で、将来の保険料に、将来の保険料に充当するということとして、剰余金をそのままにしてあるという事情であるというふうに伺っています。
 このため、剰余金はあるものの、使途を変更して活用するということは、こうした保険者や、手続を踏んだ取決めとしてはなかなか難しい。その全ての根底には、全額保険者負担でできている制度であるということがあるということも御理解をいただきたいというふうに思います。

121 仁木博文
○仁木委員 とても人道的だと思っていた大臣の答弁としてはちょっと、やはり大臣もおっしゃっていましたが、ちょっとがっかりなわけでございますが、これは財源がないなら別ですし、財源のことを、また戻す等々と言われておりましたが、やはりこれは、一律三万円から、今余り過ぎてですね、ことが予想され、減額しているわけですね。この方は、恐らく三万円のときに出産した方でございまして、たまたま、こういうことでいわゆるそういった補償が受けられない、この方は不妊治療をされて、そしてCPになってしまったということでございます。脳性麻痺の子供さんがいるということでございますので、これは改めてまた議論したいと思いますし、もし、委員の方、お聞きでしたら、こういったことというのは結構、厚労行政はたくさんあると思います。
 そういうことで、財源がある中で、いわゆる救済するべきそういう命あるいは方がいらっしゃる事案に関しまして、また今後とも、私も声を発信し続けていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 ちょっと時間がありませんが、そのことに加えて、実は、臍帯血を利用した脳性麻痺の研究もあります。そのこともまた、こういった財源からも使っていただき、脳性麻痺に不幸にもなってしまった方に対しても、医療の進歩によって救えるような研究にも助成をお願いしたいということをつけ加えておきたいと思います。

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