産科医療特別給付金は産科医療補償制度の個別審査で対象外となった子供を持つ保護者の活動と、多くの方々の多角的な方面からのご尽力で決定した給付金です。
活動をしなかったら、何もかもが0(ゼロ)でした。
最初は誰にも話を聞いてもらえなかった0からの保護者の無謀な挑戦を応援してくださった皆様 本当にありがとうございました。
産科医療補償制度を考える親の会 代表の永島祥子です。
2025年1月10日より産科医療特別給付金の申請が始まりました。
これは産科医療補償制度の個別審査で対象外になられた(またはこれからなる)子供を持つ脳性麻痺児家庭約2000世帯に1200万円の給付金が給付されるもので、当事者の脳性麻痺児家庭が国に対して3年間かけて交渉をし決めて頂いた給付金です。
初めは中西美穂さんという関西に住むお母さんが1人で始めました。
国の制度というのは、私達が想像が出来ないほど多くの関係者や有識者が長い年月と英知を集結し決まっていきます。
その為、そのような確固たる国の制度に楯突き、活動を起こす事は一般的には「無謀」であり、最初は自分の子供が当事者であっても誰も中西さんに協力しようとしませんでした。
私もその1人でした。
自分の子供も産科医療補償制度の個別審査で対象外で当事者、しかも重度の脳性麻痺児なのに声を上げる活動をする事を避け、誰かがやってくれてお金が出たら貰おうと思っていました。
でも、徐々に自分の中で“納得がいっていない
産科医療補償制度の「個別審査」”に対する想いが抑えきれず、途中から親の会に入れてもらい活動に加わりました。
当事者は一定数居て活動にも気づいているはずなのに、名乗り出て参加をしてくれる家族は本当に少なくて、最後まで限られた人数で国に陳情を続けました。
活動に参加した家族は勇気を出してメディアに子供と出続けてくれて、代表の私は日々の活動が忙しくて永田町には泊まり込んでいた時期もあります。
当事者家族が全国から少しずつ名乗り出て活動量が増すと、地方のメンバーはバックヤードの活動を、首都圏のメンバーは議員会館や自民党本部に何度も出向いて 金額の交渉や張り詰めた交渉を行い、障害児育児の現状を伝え続け、最終的には国に給付金を決めて頂きました。
基本的に、国は一度決めた事を覆す事=「前例を作ること」を嫌います。
例え脳性麻痺児の為に蓄えたはずの産科医療補償制度の剰余金であっても、ルールを変えて1円でも動かす事は基本的には絶対に許しません。
でも今回、3年に及ぶ年月を経て
産科医療特別給付事業を行う事を国は決めてくださいました。
脳性麻痺児の為に蓄えられた産科医療補償制度の剰余金から、一部の子供ではありますが脳性麻痺児に350億円規模のお金が支払われる事業を決めてくれたという事です。
私達は保護者ですので勿論、1200万円ではなく本来の3000万円の補償を求めていました。
細かいこの給付金が得られるまでの経緯を知らず、国が1200万の給付金を出す事だけを知ったご家族の中には「なんで1200万なんだよ。」と不満に思う方も居るかもしれません。
でも、この給付金は世間的には「奇跡」と言われています。政治の流れやタイミングの良さが上手く重なり実現した奇跡だと私も思います。
その奇跡を起こしてくださった背景には、保護者が団結した力を受け止めてくださった方が沢山居る事を知って欲しいです。
障害児のほんの一部の救済にはなるけれども、とはいえ「出来るところからやれる事を」と、
障害を持つ子を思って動いて下さった方が沢山居た結果です。
国の手当や福祉サービス、給付金など、私達 子育て世帯に行き届く背景には、大勢の動きがある事を私自身 活動を通して学びました。
政治家の先生や官僚の皆様に感謝の気持ちが生まれる経験にもなりました。
日本の障害児の政策に関わる国会議員の先生方、何十人にも面談に伺いました。
産科医療補償制度を考える親の会は多大な労力がかかっても、大人だけで出向くのでなく、車椅子やバギーの子供達を永田町や霞ヶ関まで連れて「障害児を見てもらう」事を心掛けました。
給付金はほんの一部の子供にしか行き渡らないかもしれないけれど、国の制度を作る側の立場の方に子供達を見てもらい障害児育児の現状を伝える事は私達なりに頑張ったつもりです。
最後に、この活動をたった1人で始めた関西のお母さんの中西美穂さん。活動を知ってくださって署名を書いてくださった皆様、会に寄付をしてくださった皆様、そして障害児の為になんとかお金を動かしてくれないかと実行してくださった
衛藤晟一先生、田村憲久先生をはじめとする先生方。厚労省、日本医療機能評価機構の皆様。
名前を上げきれないほどの方が、障害児って育てるのやっぱ大変だよな。と思い、この給付金を子供に届けてくださった事 深く御礼申し上げます。
メディアの記者の皆様方もありがとうございました!一生皆さんが真剣に報じてくださった事 忘れません!
この給付金が給付される事が決まったご家庭にはこのような動きがあり得られた給付金である事を知って頂けたらと思います。
【給付金が対象で受け取る事を決めたご家庭へ】※申請期間は5年 申請しない 1200万を受け取らないという辞退は自由
産科医療補償制度を考える親の会は給付金が決まったので活動はしておりませんが、1200万の給付金が対象となり、ご家庭で何か救われた事例などあれば、給付金を決めて頂いた各所にお伝えしたいので教えてください。
よろしくお願いします。
産科医療補償制度を考える親の会
代表 永島祥子(ながしましょうこ)